フリーランスになって10年、自分の価値を最大限出すために意識したこと

スワンボート

今日、あるアプリ開発者の仲間が会社に辞表を提出したと聞いて「そう言えば自分もフリーランスになって結構経つなぁ」と思い数えてみたら10年経ってました!

途中2年ぐらいある会社に所属したので純粋なフリーの期間は実質8年ほどになります。
振り返ってみると楽しいことの方が多かったなと思います。

金銭的に苦しい時期がなかったわけではないですが、ありがたいことに再就職しないと食べていけないほどということはありませんでした。
SOHO系のサイトでお仕事を頂くことはありましたが、あまり営業らしい営業をした覚えがないのはありがたいことです。
誰もが知る大企業や、自分が好きだったゲームタイトルに関わる機会や、好きだったアーティストのアプリのお仕事など予想外の所からお仕事のお話しを頂けたりするのはフリーならではの楽しみです。

色んな出会いや、経験をさせて頂けるのはとても楽しく、新しい人や仕事との出会いが自分の可能性を広げることにも繋がったりします。
人の集まる場所に出かけて繋がりから作ることもひとつの方法だと思いますが、それよりは作った物に興味を持って頂けてそこから繋がった縁の方が、経験上その後何かを生み出す結果に繋がっています。

組織に守られていない我々は作った物で認めてもらうしかないのです。
制作させて頂いたアプリがAppleStoreのプリインストールアプリになった時にはとても興奮しました。

あるクライアントの方がこんな事を仰ってくれました。

「なぜ、そんなにしてくれるんですか?」

言われたことを、言われたとおりに作る人が多い中、いい物にしようと意見を出したり、時には何も言わなくても先に作ってしまったり。
いろいろしてくれる、なぜそこまでしてくれるんだと…

私がいつも意識しているのは自分じゃないと出せないテイスト・味を制作物に込めること。
そうする事によって少なくとも「誰に頼んでも同じだった」とは思われないかなと思っています。
そして、それが他の方との違いとなり自分の価値に繋がっていくはずだと信じています。

グラフィックやサウンドと違い、プログラムは腕の違いこそあれど個性はそれほど出ない・必要とされていない職種だと思われていると思います。
だからこそより個性を出した物作りを心がけたいと思います。
プログラムを組むだけでなく、今まで培ってきた経験を生かした作り方のアイデア出しも含めて自分の価値としたいと。

もちろん工数との兼ね合いもありますので、いつでもそうできるわけではありません。
しかし、極力そうできるように興味を持てない案件はお受けしないようにしています。
興味がある物を作るときには自然といい物にしたいという欲求が出ますので、余剰作業も「楽しんで」出来るのです。
自分が興味を持てる物しか引き受けないというのも仕事を楽しんでするコツのひとつです。(^^;)マア、ソウモイッテラレナイトキハショウガナイデスガ…

仕事の選択権があるというのもフリーランスの利点ですので、それを生かせるぐらいにお声かけして頂けるように頑張らねばと思います。

まあ、偉そうなことを書いたかもしれませんが、それでもお仕事頼んでみようと思って頂ける人がいるおかげで今日も生きてます(^^;)
なんかありましたらお声かけ頂けますと幸いですm(_ _)m

ということで、今日もこの大海原でなんとか転覆もせず漂っております!

一人乗りの小さなボートでこのAppStoreという大海原(レッド・オーシャン)にこぎ出した者達!
人はそれを「個人開発者」と呼んだ!!

おまけ:ダイハード

ある、コンシューマーゲームのお仕事をさせて頂いた時のお話しです。
私が入ったときには、そのプロジェクトはすでに炎上状態でした。
メンバー専用の連絡BBSにはクライアントからのおしかりやメンバー同士の阿鼻叫喚の書き込みが並んでいました。
7名ほどのプログラマーが関わっていたようですが、戦力になっているのはメインの方だけという印象でした。

他の方のコミットしたソースをコンパイルするとコンパイルエラーで動かないなんて事も日常茶飯事で、「これは大変なプロジェクトに関わったぞ」と思った物でした。
しかも、アセンブラが必要なプロジェクトだったのですが、アセンブラに明るいのはメインの方と私だけのようでした。

私は在宅で作業していたので、他の方とは面識のないままプロジェクトが進みました。
メインの方とは密に連絡を取り合い、必要なライブラリを書き起こしたり、他の方が壊してしまった部分のリカバリをしたりしていました。
気がついたら最初に伺っていた以上の部分を担当することになり(もちろん報酬は増やして頂きました。)なんだかんだあったのですが、なんとか無事にプロジェクトは完了しました。

そして、打ち上げの時に初めてそのメインプログラマーの方とお会いして、固く握手をし、乾杯しました。
このとき、「映画ダイハードのブルース・ウィリスとビルの外で彼をサポートしていた警官の様な関係だったね」と笑い会ったのが心に残っています。

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